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ビタミンA、プロビタミンAの栄養と化学的な特徴|ビタミン大辞典 |
ビタミンA、プロビタミンAの栄養と化学的な特徴ビタミンAの化学的な性質と特徴ビタミンA (レチノール) は、油脂類に溶けるビタミンの1種である脂溶性ビタミンであります。主に動物性食品に含まれており、体内ではレチノール・レチナール・レチノイン酸といった3種の活性型で作用しています。ビタミンAは皮膚や粘膜の正常保持・視覚の正常化・成長および分化に関与しているため、不足すると皮膚や粘膜の乾燥・夜盲症・成長障害・胎児の奇形などを引き起こす恐れがあります 。また、ビタミンAは脂溶性であることから過剰に摂取し続けると体内に蓄積する過剰症を起こす事もわかっています。激しい偏食をしないと過剰症にはなりづらいですが、ビタミンAを含むサプリメントを継続的に大量摂取する事で過剰症を発症した報告もあります。食品中には、ビタミンA以外に体内でビタミンAに変換されるプロビタミンA (ビタミンAの前駆体) というものがあります。プロビタミンAは主に植物性食品に含まれ、赤や黄色の色素であるカロテノイドがよく知られています 。 |
ビタミンAとプロビタミンAビタミン A には、レチノール(ビタミン A1)並びに 3-デヒドロレチノール(ビタミン A2)とそれらの誘導体があります。一般的にビタミンAといえば、一般的にA1のことを指し、βカロテンもレチノールもビタミンA1に分類されます。ビタミンA2は、アユやフナなどの淡水魚の肝臓に、含まれていますが、通常、必要な栄養素として取り上げられるのは、ビタミンA1のみです。ビタミン A は、化学的にはきわめて不安定であり、酸、空気、光、熱によって異性化、分解、重合を行います。また、体内でビタミン A に変換されるプロビタミン A(ビタミン A の前駆体)はカロテノイド色素群に属し、約 50 種類ありますが、その主なものは、β-カロテン、α-カロテン、クリプトキサンチンなどです。特に、β-カロテンは、他のカロテノイドに比べて、効率よくレチノールに変換されます。なお、ビタミン A としての生物学的効力を表わす用語は「レチノール当量(RE)」が使われています。なお、レチノール 1μg は、α-カロテン 24μg、β-カロテン 12μg、β-クリプトキサンチン 24μg に相当します。プロビタミンAとは動物体内でビタミンA作用物質に転換される物質をいう。植物中に存在するカロチノイド色素のうちα(アルファ)-、β(ベータ)-およびγ(ガンマ)-カロチン(カロテンともいう)、クリプトキサンチンなどがこれに相当するが、β-カロチン(β-カロテン)がビタミンA活性最高である。β-カロチンは、小腸粘膜内で分子状酸素による酸化的切断とそれに次ぐ還元を受けてレチノール(ビタミンA)に転換される。国際単位ではβ-カロチンのビタミンA効力はレチノールの2分の1である。酸、熱、酸素に不安定で、酸化されると無色化あるいは退色する。植物中のβ-カロチンの効率的吸収には油脂が共存すると効率的である。β-カロチンを多く含む食品としてはニンジン、緑葉野菜、バターなどがある。プロビタミンAの種類と化学的な性質カロテンについてカロテンは、植物によって生合成されるが、動物は生合成することができない。カロテンは光合成において重要な橙色光合成色素の一つである。ニンジンの橙色の元であり、このことがカロテンの語源となっているが、ニンジンだけでなく多くの果物や野菜(例えばサツマイモやマスクメロン)に含まれている。また、枯れ葉の橙色や乳脂肪、バター、卵黄の黄色もカロテンによる着色である。ヒトやニワトリの典型的な黄色脂肪はそれら食物由来のカロテンの脂肪貯蔵の結果である。化学的にはカロテンはテルペンの一つであり、8個のイソプレン単位から生合成される。カロテンは主にα-カロテンとβ-カロテンの2種からなるが、これらの他にγ-, δ-, ε-およびζ-カロテンも存在する。酸素原子を含まない炭化水素分子であるためカロテンは脂溶性であり水には溶けない。α-カロテンの化学的な性質α-カロテン(α-Carotene)は、一方の末端がβ環でもう一方の末端がε環であるカロテンである。カロテンのうち、2番目に多く存在する。生物内ではδ-カロテンから合成され、緑黄色野菜のみならず多くの植物にみられる。水にはほとんど溶けない脂溶性の物質で、純物質は紫色をしている。体内で酸化されレチノイドとなるが、βカロテンに比べると効力が低いとされている。β-カロテンの化学的な性質β-カロテン(ベータカロテン、β-carotene)は、植物に豊富に存在する赤橙色色素の一つ。両末端にβ環を持つ最も一般的なカロテンである。ビタミンAの前駆体(不活性型)である。テルペノイドの一つであり、水には溶けないが脂溶性は大きい。β-カロテンは2つのレチニル基から構成され、小腸の粘膜中でβ-カロテン-15,15'-モノオキシゲナーゼ(EC 1.14.99.36)によってレチナールに分解された後、ビタミンA(レチノール)となる。 カロテンは体内では肝臓や体脂肪に蓄えられ必要に応じてレチナールに変換され、ヒトや数種の哺乳類ではビタミンAの形にする。α-クリプトキサンチン(ゼイノキサンチン)β-クリプトキサンチンの化学的な性質β-クリプトキサンチン(β-cryptoxanthin)は、天然に存在するカロテノイド色素の一つである。ホオズキやオレンジの皮、パパイヤ、卵黄、バター、リンゴ、ウシの血清など多様なところから単離される。分子構造はβ-カロテンに似ており、その片方の環にヒドロキシル基が一つ置換している。炭素と水素以外の元素を含むためカロテノイドのうち、キサントフィルに属する。純粋なクリプトキサンチンは金属光沢を有する赤色の結晶である。クロロホルムやベンゼン、ピリジン、二硫化炭素に易溶。ヒトでは、β-クリプトキサンチンはビタミンA(レチノール)に変換されるためプロビタミンAと見なされている。他のカロテノイドと同様に、β-クリプトキサンチンは抗酸化物質としてフリーラジカルによる酸化的損傷から細胞およびDNAを保護していると考えられている。プロビタミンAの化学式 |
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